モロッコの”青い街”シャウエンとは?!
こちらのブルーのペンキで塗られた街の風景を、何かで見た事がある方が多いと思います。この場所はモロッコ北部にある正式名称「シェフシャウエン(Chefchaouen)」という街です。一般的には「シャウエン(chaouen)」と呼ばれています。
シャウエンの場所は、こちらの地図の モロッコ北部にあります。モロッコ北部はスペインで発生した”レコンキスタ(キリスト教国土回復運動)”の影響で、ヨーロッパを追われた人達が多く移り住んだ場所です。
そんなシャウエンの街がなぜ”青く”なったのか?!
今ではモロッコ国内を飛び越えて、世界中で有名な街になったシャウエン。でもそんなシャウエンの街は30年前までは普通の街で、壁も青く塗られていなかったのである。
地中海沿岸の地域ではとても直射日光がキツイ。そんな地域で住んでいると家が暑くなって仕方ないので、太陽光を吸収しにくい白い壁の建物が多く目立つ。元々シャウエンの”青”ではなく、”白い街”だったのである。
という事は誰かが”何らかの理由”でここシャウエンの街の建物を青くペンキで塗ったのだ。そんな街を青くした理由についてリサーチをしてみた。
青くなった説①「 イスラム教で青は神聖な色だから」
こちらはよく見かける説だが、イスラム教で”神聖な色”とされているのは「緑色」である。その理由としてイスラム教の教祖「ムハンマド」のターバンの色が緑だった為である。
イスラム教で「青色」は”魔除け・邪視除け”の力があるとされている。その為に魔除けで目の形をした御守りのデザインは、殆ど青色になっている。
なので「イスラム教で神聖な色だから」という説はちょっと弱いような・・・。
青くなった説②「 ユダヤ教で青は神聖な色だから」
スペインで発生した”レコンキスタ”によって、安住の地を追われたユダヤ人たちが逃げ込んできたモロッコ北部の街。そんなユダヤ人の宗教”ユダヤ教”では青と白は重要視されている。
聖地エルサレムがあるイスラエルの国旗を見れば、それがわかる。その青は、海と空の色で神を象徴する色のようです。ユダヤ人は身体のどこかにこの青を付けるとされている。
ただ彼らユダヤ人は1600年代から住み着いた為に、ここ30年の間に街を青く塗った根拠に乏しい・・・。
ちなみにイスラエルのマクドナルドの看板は一般的な「赤地に黄色ロゴ」ではなく、「青地に黄色ロゴ」だとか。
青くなった説③「青い方が涼しく感じられるから」
先程のユダヤ教でも出てきたが、海と空は青色だ。そんな青色が人間に与える心理効果として「爽快感、清潔感、知的感、冷静さ、誠実さ」などだ。青い色は海を連想させて、夏のイメージを感じさせて涼しさを醸し出す。
ただそれでホントに涼しく感じれるのであれば、もっと多くの街で真似しているハズ?!
青くなった説④「虫除けの為に青くした」
蚊について、黒い服を着ていると蚊に刺されやすいが「蚊は色がわからず、彩度の濃い色に寄って行き易い。モノクロにした時に黒っぽく見える赤や青なども同様」と聞いていたのでこれも眉唾の話かなと思っていた。
それが2014年に科学雑誌で発表された論文で「なんと青色光を当てると昆虫が死ぬ」ことが発見されたのである。それによると青色光(400~500nmの紫~青に見える波長の光)を当てることによって、昆虫を殺虫する事ができるとの事。
最近「ブルーライト」という言葉をよく耳にするが、青い光は人の目によくない。
というのも青い光が当たる事によって細胞内に活性酸素が発生し、網膜細胞にダメージを与えるのが理由だと考えられているそうだ。その為「ブルーライト」をカットするメガネが目を保護するので最近多く販売されている。
これが最もな理由っぽく見えるけど、これはあくまで実験室でこの”青色光(400~500nmの紫~青に見える波長の光)”をライトで照らしたのであって、壁を青く塗って日光を反射させて実験した訳でもないのである。
そして紫~青系の色は虫が近寄ってきやすい色でもあります。そう考えるとこの説も???と思っちゃう。。
青くなった説⑤「青い街にしよう運動があった?!」
地中海沿岸の街では、扉や窓など建物の一部を青く塗っている所が多い。有名なギリシャのサントリーニ島とかは、まさしくそういうイメージ。ただ建物全体を青くペンキで塗っている建物は全然見かけない。
このシャウエンの街の周辺には、同じようにユダヤ人が沢山移り住んだ街並みを持つ街が何箇所かあるが、同じように建物の壁を青に塗った街は見当たらない。そこまでするには「何か突発的な出来事があったのだろう?」と推測してみる。
この説はこの地方の偉いさんが「自分達のアイデンティティーを大事にしよう!」と住民に訴えて、青いペンキで建物の色を青く塗らせてみた。
するとそれを見た住人達が「青い色の建物って爽やかで明るくてイイね!!」と感じて、みんなが真似をするようになって街全体が青くなっていったという。
という事で現地の人達にこの話を聞いてみてもそれぞれに諸説があるみたい。だから「確実にこれだ!」という確証はないようだ。だが、この壁を青く塗る事によって観光客が押し寄せて経済効果が出た事はそれらの副産物であり、事実である。
個人的にはまだまだ青く塗られていない建物があり、シャウエンの街はもっと青くできる。だから「もっともっと青い街にしていって欲しい」と思った今日この頃でした。
以上
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